2021年09月26日

ツムギの職場訪問

『暑さ寒さも彼岸まで』と言うが、日中はまだ暑いものの、朝晩は肌持ちの良い季節になって来た。
8月には、北海道の友人からメロン、9月には南関の恩師から恒例の栗が送られてきた。
メロンは1週間くらいしてから食べた。仕事中、暑い中に冷えたメロンを3時のおやつにみんなでほおばる。




一瞬で汗も引き、生き返った心地がする。
栗は、着いた翌日に、栗ご飯にして食べた。



今年の栗は、鮮度が良かったのだろう。とても甘くて、美味しかった。
北海道の友人、南関の恩師様、この場を借りて厚くお礼申し上げます。
そういえば、35年くらい前に森永グリコ犯事件があったことを思い出した。とうとう未解決で迷宮入りになったが、犯人に共通の好きな食べ物があったことが、警察の調べで分かったそうだ。「へぇーどんな食べ物だろう」「栗ご飯」だとさ。

そんな中、生後1ヵ月と5日目のツムギが初めて職場訪問にやって来た。
ドラえもんに「どこでもドア」というひみつ道具があるが、それを真似たのか、「ツムギのどこでもドアー」と言ってやって来た。



「オッやるなこいつ」「よく来たナァー」と抱っこした。「おまえなんか知らないヨ」とベロを出した。



まずは、従業員にご挨拶。




最初は目が明いてたが、まだ眠いのだろうか、目がトローンとしている。




「あぁーあー、とうと寝てしまった。」



寝顔を兄弟で見ている姿が微笑ましい。



1ヵ月と15日目、再び職場訪問に来た。その日は機嫌が良かった。従業員さんたちにも抱っこしてもらった。




最高にかわいい写真が撮れた。



本当にかわいい。最後に俺が抱っこしようとしたら、「あんたはダメ!アッカンベー。」とベロを出した。



「こいつ、オレの素性を知ってるなぁ!」

9月22日、汗疹が首に出たので、クリニックに診察に行った。
危険を感じたのだろう、火が着いたように泣いたそうだ。トラウマにならなければいいが。
帰りに工場に寄った。「オオ、怖い目に遭ったネー」と抱っこした。



「アッよく見るとこいつ加藤清正と偽名を使ってる奴だなぁ。オイオイもう少し優しく扱えよ。ただ抱っこすればいいってもんじゃないよ。これだからトーシロは困るんだ。」と言わんばかりにオレを見つめてる。
やっぱり嫁とか、母親に抱かれると安心して眠ってしまうようだ。




こいつは強敵が現れた。
いかんいかん、このままじゃ主役を持っていかれる。これから先が思いやられる!
  


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2021年09月16日

スタンドバイミー(完結編)『遠見山、権現山踏破』

あれは、小学6年生で冬休みも終わり、3学期が始まったとある日曜日の事だった。
八幡宮の境内で遊んでいると、リーダーが「昼飯食ってから、遠見山に登ろうかい。」と言った。
午後からの予定もなかったので、参加することにした。
リーダーを含めて、6,7人くらいの編成になったと思う。
天気は晴れ、まだ冬だったので、少し寒かった。
牛小の裏道を通り、水道山(今の日本庭園)に登り、小さな山道をみんなで登って行った。山頂には小一時間位で着いた。山頂にはテレビ塔が立っていた。



リーダーが言った。「この遠見山は昔は、海底だったとぞ。」と、「その証拠に足元を掘ってみろ。貝殻の化石が出るから。」と言ったので、棒で掘ってみた。なるほど、あっちこっちから貝の化石が出てきた。記念にポケットに入れる者もいた。
その頂上から、久玉方角を見ると、そこには権現山というこの遠見山より高い山がそびえたっていた。



時間は2時くらいだったと思う。リーダーが「これより、久玉に下り、そこから権現山を踏破する。」と言い出した。嫌な予感がしたが、みんな逆らえない。
久玉は吉田の変電所近くに下りた。
旧道吉田道から、竜ヶ越に行くカーブの所に変電所はあった。
そこの右側に小さな小道があった。そこから登って行った。知らない道をどんどん登って行った。
山頂についた頃は、日がだいぶ傾いていた。山頂付近はまだ残雪が残っていた。さぁー下山だと下り始めたら、すぐ横に小さな祠があった。
みんなびっくりした。その周りには椿の花が少し咲いていた。辺りは薄暗く、風が吹いてきて、周りの木がザワザワと鳴き始めた。
まずいぞ!昔話に出てくる「山姥」が近くにいるんぢゃないかと思ったら怖くなってきた。
長居は無用。みんな一目散にその場を離れた。帰りは、下り坂だったせいもあるが、みんな速いこと速いこと。俺は殿だったので、何んか後から追いかけて来そうな気がして、生きた心地はしなかった。
久玉の無量寺のところまで来た時、やっとここまで来たかと安堵した。腹も減ってきた。今の牛高の裏の旧道の所に、小さな商店があった。
みんな金を出し合った。15円くらいあったので、「いもアメ」を買った。1円で2ヶ来るので、30ヶをみんなで分けた。うまかった。
時間は6時を回っていた。久玉から宮崎までは2時間弱はかかるだろう。8時頃帰って来た子供を褒める親はいなかったと思う。
でも怪我もしないで、無事帰って来ることが一番の親孝行である。

スタンドバイミーの主人公が、友の訃報に接し、心の中でつぶやく「12歳だったあの時のような友達はそれからできなかった。誰でもそうなのではないだろうか?」という所に、小欄も共感し、この4つの冒険の話を書いてみた。
確かにあの時のような、友達は出来なかった。
隊長であった祐の字は他界したが、長島の義兄、みよっしゃんとオレ、三人だけはまだ固い絆で繋がっていた。
会うたびに冒険の話が出る。
テレビも携帯もない時代に、少年期を過ごされたことを幸せに思う。 


  


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2021年09月08日

お宮参り

神の国の話
7月の末、雲の上の広場に8月に産まれる女の赤ちゃんたちを集めて神様が話し出した。
「下界の貝川蒲鉾店に、女の赤ちゃんが産まれることになっている。誰かそこの子供になる希望者はいないか?」と。
すると広場内がザワつき始めた。
「アソコのじいちゃんは、加藤清正と偽名を使っているそうよ。」
「趣味はつまみ食いだって!」
「特技は掛け算の九九が言えるって豪語しているらしいよ。小学3年生でも言えるのにネー。馬鹿みたい。」
「昨日も松本内科で、検尿のコップを持って採尿を取っていたら、コップを持っている指に、少しシッコがひっかかり、右手に持ち直して、左手の露を振り払おうとして、勢いよく指を振ったら、便器の角に強くぶつけ、あまりの痛さに、思わずその指を口の中へ入れようとしたそうよ!」
「いやねー」「最低」
「しかもシャツのボタンを掛け違えているのを知らないで、心電図を取った後、ボタンを留めようとしたら、また2番目の穴に入れようとしたので、看護師が見かねて、「また2番目から入れようとしている。もう1つ上から、ボタンをははめんば!」
そう言われて、初めてボタンの掛け違えに気づいたそうよ!」
恥ずかしいー。やーねー。わたしなら死ぬわぁー。
非難ごうごうの中、1人の赤ちゃんが立ち上がり、「私が行きます!」と力強い声で言った。
「何か面白そう。フフフ」
「えー、他にも裕福な家庭はいっぱいあるのにー。」
「オー、君が行ってくれるか。あそこは、じいちゃんを除けば、みんな良い家族ばっかりだから、幸せになるよ。あの男は、馬鹿をやってないと生きてはいけない男だから、気にしなくていい。」
「8月1日に君は産まれることになっている。名前が決まったら、33日目にお宮参りに来るように。お神酒も忘れるなヨ。」
「ハイ、ジャー行って来ます。」
「オイ、待て待て、このリュックサックを忘れるな!これには、君の人生の運が入っている。どうにもならん時だけ開けて、少しずつ使うように。」
「ハイ、わかりました。」と言って、羽根の生えた翼にリュックを背負って下界に下りて行ったのである。

9月2日は、産まれて33日目の日。神様との約束の日だった。
当日は、赤飯が7時半頃来たので、神様に塩と赤飯とお神酒を上げた。
ご近所にも赤飯を配った。お宮参りの時間は、11時だった。
嫁さんのお母さんに、赤ちゃんを抱いて参拝してもらうようにしていたのだが、急用ができて来れないということで、うちの嫁が急遽代役を務めることになった。
少し時間にゆとりを持って出かけた。八幡宮で落ち合うことになっていた。
長男たちも着き、車から降りて来たので、「着物は持って来ただろうな。」と聞くと「アッ、忘れた。」と言って、慌てて家まで取りに行った。



この着物は嫁さんのお母さんが、娘が産まれたときに作られた着物だそうだ。でも、ご主人のお母さんがもう作っておられたので、そちらの方を宮参りには使われて、この着物は一回も使用しないまま、タンスの中に眠っていたのである。
30余年の時を経て、やっとここに日の目を見ることとなった。





11時に神事が始まった。「ドン、ドン」と太鼓が打ち鳴らされた。するとツムギが、「ビク、ビク」と体を動かしたそうな。




お神酒、お初穂料、玉串を奉納し、全員お祓いを受けた。
神事が終わった後、宮司さんのはからいで、神様の前で記念写真を撮ることが許された。






時計を見てみると、11時40分だった。「昼食をみんなで食べるかー。」と言って、海彩館に予約を入れた。着いてみると、平日なのに結構お客さんが多かった。
刺身定食にしたのだが、なま臭くて、いまいちだった。
ハンバーグか天ぷら定食にすべきだった。



ツムギは疲れたのだろう。予約席の前で大の字になって眠ってた。顔を覗いてみると、心なしか、オセ、オセした顔になっていた。



きっと神様が魂を入れて下さったに違いない!  


Posted by 貝川蒲鉾店  at 22:56Comments(1)