2019年08月29日

引きこもりの人生

8月というのに、うっとおしい雨が続いている。
お盆前に、工場の前の空き地の雑草があまりも伸びていて、道路まではみだし、通行の妨げになっていた。
隣組の人たちも、私の所に苦情に来られるようになった。市の牛深支所にTELをして所有者に草を刈ってもらうよお願いした。
そしたら盆が過ぎたら、シルバー人材センターから刈りに来るとの連絡が入った。
盆過ぎてからは、雨ばっかしだったが、雨の晴れ間を見て刈りに来てくださった。よかったぁー。






8/23、次男の誕生日だった。今年はこの人に誕生日祝いにと電気カミソリをプレゼントされた。そのお礼にと思って、海彩館を予約して一席設けた。
「さぁさぁーお飲みなさい。おあがんなさいヨ!」「何歳になった」「29」「29歳かいいねー。にくまれ子世にはばかるか」「よせやい」「おっとこれは失礼」




いつもは楽しい飲み会だが、私が爆弾を抱えているので、皆が気を使って会話が弾まない。すまない。だから自然と引きこもりがちになっている。
45年前ぐらいだろうか、鶴田浩二に「傷だらけの人生」という唄があった。近頃この唄が脳裏にちらつく。
「♪何から何まーで真暗闇夜~、筋の通らぬことばぁかぁーり。右を向いても左を見ても~馬鹿と阿保~のだまし合い、何処に男の夢がある~♪」
日本、韓国の徴用工問題、香港、セブンペイ、煽り運転、リクルート等々。
日本と韓国問題にトランプ大統領が初めていいことを言った。
「日韓はいつも喧嘩ばかりしている。もっと仲良くしろよ!」と。少し好感が上がった。好感が上がらないのは私の体である。
歩くのはもちろん、立っているのもきつい。自宅から駐車場まで歩いている姿を人に見られたくない。
知らない人は「貝川さんがまた歩きよらす」「ヨボヨボして急に歳とらしたなー」「総合体育館に行って筋力トレーニングをすれば」と言いたい放題だ。
更に唄へ続く、「まっぴら御免と両手を振って歩きたいけど、歩けないー。いやでござんす、お天道様は日影育ちの泣き所~♪」と明るい時は工場でじっとして、暗くなってから行動することにした。これからは、引きこもりのケンちゃんと呼んでください。

事情通の話「オイ、オイ、夜はやめとけ!貝川さんが夜になると徘徊しよらすと噂が立つから」  


Posted by 貝川蒲鉾店  at 22:40Comments(0)

2019年08月14日

閻魔大王と地獄の事情

風にも負けず、雨にも負けず、そして夏の暑さにも負けず、我々は仕事に精を出している。



この暑さで、機械も故障する。高価な機械なので、大事にしなくてはいけない。





我々、生産業者にとって盆はかき入れ時であるが、そこに台風がやってくると大打撃である。仕方がない。
今日は盆。仏壇の前で先祖の霊に手を合わせる。しばらくして、仏壇の前でうたた寝をする。
場面は、亀浦の精霊船を流す港である。見送りの鐘の音、念仏の声、多くの人であふれていた。私は用をたしたくなり、人気のない小道に入り用をたした。
帰ろうとすると後から次々と背中にリュック、手には一杯の荷物や土産を持った人たちが、小さな小道を先へ先へと歩いていく。
その人ごみに押され、私も中へ中へと押し流されていった。程なく歩くと、薄明かりが見えてきた。するとあれだけの人の波が居なくなっていた。
「おまえは誰だ。」という声が上の方からしたので、見上げてみると、2メートルはあるかという赤鬼、青鬼が立っていた。
両腕をつかまれ、閻魔大王様の前まで連れていかれた。




大王「おまえの名前は何という。」
「ハイ、カイガワケンスケと申します。」
大王「はてー?どっかで聞いたような?ま、よい、侍従官!この男の罪状を調べて見よ。」
侍従官「ハハアー」「この男は、20年前まで、飲む、打つ、買うの三拍子で、会社を倒産寸前にまで追い込み、いまだ閉店セールをやっている不届き者であります。」
大王「何!三拍子とな」「この男、すぐさま針の山に登らせろ!」
侍従官「大王様、この男、生前は針の筵で慣れていますので効かないと思います。」
大王「何!効かない」「それじゃ、火車に乗せて火あぶりにしろ!」
侍従官「大王様、誠に恐縮ですが、この男の会社20年以上火の車だったので、これも慣れて効き目がないと思います。」
大王「そうか、じゃ、煮えたぎる血の池地獄に落とせ!」
侍従官「大王様、お言葉ではございますが、この男事あるごとに嫁から煮え湯を飲ませれていますので、血の池に入っても鼻歌が出てくるかもしれないと思われます。」
大王「ウーム、忌々しい奴」
侍従官「大王様、今入ってきた情報によりますと、この男、生前は『石酔会』という碁の仲間の幹事長を20年やっていたそうです。」
大王「何!石酔会というと、あの佐々木又男、大田定、平田健二の荒くれ三羽烏!あいつらが来てからは、地獄の風紀が乱れ、鬼たちがほとほと手を焼いている。今この男が来たとなったら、一二祐介、城下等らが加わり、あいつらが勢いづいて、この地獄は収拾がつかなくなる。」
地獄にも法と秩序がある。おい、侍従!時にこの男なんでここに来たのか。
大王「何!手術をするくらいなら、死んだ方がマシだと」バカヤロー
オイ、死神、こいつを娑婆の入り口まで行って放り出せ!
死神の後について歩く「オイ、ケンスケ、お前に見せたいものがある」と言って火のついた蠟燭がいっぱい立っている所に案内された。
蠟燭には名前が書いてある。知っている名前もあった。
「この消えている蠟燭は」「今年亡くなった人だよ」
「今にも消えそうなのもあるね」「よく見ろお前だぞ」「ワーオ、ちょっと待ってくれ!」
「オイ死神、なんとかならないのか!」「あのな、物は相談だが、オレたちも昔は、24時間営業してたんだけど、働き方改革で、日が沈んでから夜明けまでとなって生活が苦しんだ。ここに1本の蝋燭がある。100万でどうだ。これを持ってたら、100歳以上生きられるぜ!何も今払えというんじゃない。お前が死んで保険が入るだろ。その時払えばいいんだ。だが、この事は誰にもしゃべるな!それがバレると日本死神協会から永久追放されるからな!」
「オイ死神、俺の話も聞け!死んでから700万はもらえる保険にかかっていたが、100万ぜひ要ったので、保険から借りた。そしたら、死んでからもらえる金は500万になっていた。なぜ?100万はどこにいったんだろ。あくどい事をするねーJAは。」
普通は死んだらみんなチャラになるんだが、お前は死んでからも借金を負うた。それがお前の人生さ!おっそろそろ出口が見えてきた。あばよ、達者でな!
出口が明るくなって来た!
その後から死神が一言声をかける。
「オイ、ケンスケ、外は明るいから、蝋燭の火を灯しているのはもったいないんじゃないか!」と、
「アッそうか」とおもってふぅーと消す。
………携帯の音で目が覚める。北海道の友人の訃報が入る。  


Posted by 貝川蒲鉾店  at 23:21Comments(2)